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中小企業がカスハラ対策で実施すべきな8つの取組を解説

  • 更新日:2026/08/10
  • 投稿日:2026/08/10

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顧客対応の現場で、長時間の叱責、人格を否定する発言、過度な謝罪要求、SNSへの投稿をちらつかせた要求などに悩む企業は少なくありません。こうしたカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)は、従業員の心身に負担をかけるだけでなく、通常業務の停滞や人材定着にも影響する可能性があります。中小企業にとっては、現場任せにせず、会社として対応する仕組みを整えておくことが大切です。

この記事でわかること
  1. カスハラ対策は「現場任せ」にしない時代へ
  2. カスハラ対策で取り組むべき施策の全体像
  3. 東京海上Gでご支援できること
  4. まずは「基本方針の策定」と「相談窓口の設置」から始める

カスハラ対策は「現場任せ」にしない時代へ

カスハラとは、顧客等からの著しい迷惑行為を指す言葉です。厚生労働省は、関係省庁と連携し、カスハラを想定した事前準備や、実際に起こった際の対応など、企業向けの基本的な枠組みを示した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(以下カスハラマニュアル)等を公表しています。

これまで顧客対応は「現場の経験」や「担当者の我慢」に頼りがちな面がありました。しかし、近年は社会全体でカスハラ防止の動きが進んでいます。法整備の面では労働施策総合推進法の改正に伴い、2026年10月1日から事業者のカスハラ対策が義務化されます。

東京都では「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が2025年4月1日に施行されました。条例では、事業者がカスハラ発生時の従業員の安全確保や従業員に対する教育など必要な措置を行うよう努めることなどが示されています。

こうした流れを踏まえると、飲食、小売、介護、運送、宿泊、営業、コールセンターなど、顧客接点を持つ企業においては、規模にかかわらず、早めに対応策の検討や体制整備をしておくことが求められます。

カスハラ対策で取り組むべき施策の全体像

カスハラマニュアルでは、カスハラ対策として、事前準備4項目と発生後対応4項目の流れが示されています。中小企業では、すべてを一度に完璧に整えるのではなく、まずは自社の実情に合わせて、基本方針の明確化、相談体制の整備、対応手順の策定、記録の管理から着手すると進めやすくなります。

区分連番取り組み内容
事前準備1基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
2従業員からの相談対応体制の整備
3カスハラ対応方法・手順の策定
4社内対応ルールに関する従業員教育の実施
発生後対応5事実関係の正確な確認と事案への対応
6従業員への配慮措置の実施
7再発防止のための取り組みの実施
81~7までの措置と併せて講ずべき措置(事案に関する情報の記録・管理)

事前準備1:基本方針・基本姿勢を明確にする

最初に取り組みたいのは、会社としての基本方針を決めることです。

たとえば、次のような方針を明文化します。

「当社は、お客様からのご意見に真摯に向き合い、サービス品質の向上に努めます。一方で、暴言、脅迫、長時間拘束、過度な要求など、社会通念上相当な範囲を超える言動に対しては、従業員を守るため、組織として対応します」

大切なのは「お客様を大切にしない」という姿勢ではなく、「正当なご意見には誠実に対応しつつ、不当な要求には会社として毅然と対応する」と示すことです。事業主が方針を明確化し、労働者に周知・啓発することが重要です。

方針は、就業規則、社内ポータル、朝礼資料、店舗掲示、ホームページなど、自社に合った方法で周知するとよいでしょう。

事前準備2:従業員が相談できる体制を整える

次に、従業員が被害を受けたときに、誰に、どのように相談すればよいかを明確にします。中小企業では、専用部署を設けることが難しい場合もあります。その場合でも、相談先、相談方法、緊急時対応、情報共有範囲を決めておくことは可能です。

項目決めておきたい内容
相談先店長、管理職、総務担当、経営者など
相談方法口頭、メール、チャット、専用フォームなど
緊急時対応その場を離れてよい条件、警察相談の目安など
情報共有範囲本人の同意、関係者への共有範囲、記録方法など

相談窓口を設けるだけでなく、「相談した従業員が不利益を受けない」ことも明確にしましょう。従業員が安心して声を上げられる体制がなければ、被害が表面化せず、問題が長期化するおそれがあります。

事前準備3:対応方法・手順を決める

カスハラ対応で重要なのは、現場担当者が一人で判断し続けない仕組みです。たとえば、電話対応、来店対応、メール対応、SNS投稿など、接点ごとに対応ルールを整理します。

電話であれば「暴言が続く場合は、上長に代わる」「一定時間を超える場合は折り返し対応に切り替える」。対面であれば「従業員1人で対応しない」「個室ではなく見える場所で対応する」。メールであれば「感情的に返信せず、事実確認後に文面を整えて回答する」といったルールが考えられます。

対応手順を決める際は、正当なクレームとカスハラを切り分ける視点も大切です。商品・サービスに不備がある場合の申し出は、企業として真摯に対応すべきものです。一方で、要求内容が過大であったり、手段が暴力的・威圧的であったりする場合は、カスハラとして組織対応を検討します。

事前準備4:従業員教育を実施する

ルールを作っても、従業員が知らなければ現場では機能しません。社内対応ルールに関する従業員教育を実施しましょう。

教育では、次の内容を押さえると実務に結びつきやすくなります。

教育テーマ内容例
カスハラの基礎知識暴言、脅迫、長時間拘束、過度な要求など
初動対応反論しすぎない、感情的に応じない、上長へ報告する
記録方法日時、相手、内容、対応者、証拠の有無を残す
エスカレーションどの段階で上長・経営者・外部専門家に相談するか
従業員保護体調不良時の申し出、配置変更、休憩確保など

研修は大がかりなものでなくても構いません。朝礼での共有、ケーススタディの読み合わせ、管理職向けの短時間研修など、自社が続けやすい形で始めることが大切です。

発生後対応5:事実関係を正確に確認する

カスハラが発生した場合、最初に必要なのは事実関係の確認です。このとき、顧客側の主張だけ、従業員側の説明だけに偏らず、できる限り客観的な情報を集めます。

確認すべき項目は、発生日時、場所、対応者、顧客からの要求内容、発言内容や行動の具体的な記録、電話録音、メール、チャット、SNS投稿、防犯カメラ映像などの有無、商品・サービス上の不備があったか、すでに実施した対応内容などです。

事実確認を急ぐあまり、被害を受けた従業員を責めるような聞き方にならないよう注意が必要です。目的は、責任追及ではなく、従業員を守り、適切な対応方針を決めることです。

発生後対応6:従業員への配慮措置を実施する

カスハラを受けた従業員は、精神的に大きな負担を抱えている場合があります。

配慮措置としては、当該顧客への対応から一時的に外す、上司や複数名で対応する、休憩や早退を認める、必要に応じて医療機関や相談窓口を案内する、配置や勤務シフトを一時的に見直す、経営者や管理職が本人の状況を確認する、といった対応が考えられます。

特に中小企業では、担当者が限られているため「その人しか対応できない」となりがちです。しかし、従業員を守る姿勢を示すことは、職場全体の安心感にもつながります。被害を受けた従業員を孤立させないことが重要です。

発生後対応7:再発防止のための取り組みを実施する

一つの事案が落ち着いた後も、そこで終わりにしないことが大切です。

たとえば、初動対応は適切だったか、現場担当者が一人で抱え込んでいなかったか、上長への報告タイミングは明確だったか、顧客への説明資料や掲示物は不足していなかったか、同様の事案に備えたマニュアルが必要か、従業員教育の内容を追加すべきか、といった観点で見直します。

発生後対応8:事案に関する情報を記録・管理する

最後に、カスハラマニュアルには「その他、カスタマーハラスメントの予防・解決のために取り組むべきこと」として、カスハラの発生状況の迅速な把握と情報の記録を示しています。

記録には、同様の事案が起きたときに対応を標準化できる、社内での情報共有や教育に活用できる、顧客対応の経緯を説明しやすくなる、専門家に相談する際の材料になる、万一トラブルが長期化した場合の備えになる、といった意味があります。

記録は、感情的な表現ではなく、事実ベースで残すことが大切です。「ひどい態度だった」ではなく、「15時10分から約40分間、電話で大声による叱責が続いた」「担当者の自宅訪問を求められた」など、具体的に記載します。

東京海上Gでご支援できること

カスハラは、起きる前に体制を整えておくことが大切です。一方で、実際に発生した後には、従業員への配慮、法律相談、再発防止策の実施など、別の備えも必要になります。

東京海上Gでは「事前準備」として、無料で視聴できるカスハラ対策研修動画や顧客のニーズに合わせて行う有料のコンサルティングサービスを提供しています。

また「発生後の備え」としてご提供している超Tプロテクション(業務災害総合保険)では、ご契約内容や特約のセット状況に応じて、以下のような補償・サービスを確認できます。

企業がカスハラ対策を講じていなかったことに対して損害賠償責任が発生した場合の補償

カスハラ発生時の対処方法を弁護士に電話相談できるサービス

カスハラ等の迷惑行為により業務が妨害された場合等の法律相談費用への備え

再発防止のためのコンサルティング費用、対応マニュアル策定費用、従業員教育費用への備え

従業員のメンタルヘルス疾患等による休業に関する補償

カスハラ対策は、「事前準備」と「発生後の備え」を分けて考えることが大切です。

まずは「基本方針の策定」と「相談窓口の設置」から始める

カスハラ対策は、特別な企業だけに必要なものではありません。顧客対応がある中小企業であれば、どの業種でも起こり得る課題です。法制度の整備も進むなか、早めに体制を整えることが、従業員を守り、事業を安定して続けるための一歩になります。

すべてを一度に整える必要はありません。まずは「会社として従業員を守る」という基本方針を明文化し、従業員が相談できる窓口を決めるところから始めてみてはいかがでしょうか。

※補償内容・お支払い条件・ご利用いただけるサービスは、ご契約内容や特約のセット状況により異なります。詳細はパンフレット、重要事項説明書、約款等をご確認ください。ご不明の点がありましたら代理店または保険会社までお問合せください。ご契約に際しては必ず「約款(集)」をご覧ください。

参考・出典

厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」

厚生労働省「10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」

東京都「4月1日から東京都カスタマーハラスメント防止条例を施行します」

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執筆プロフィール
BUDDY+編集部
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