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【GXはじめてガイド】 今注目の脱炭素経営。中小企業も脱炭素経営への取り組みが求められています!
- 更新日:2021/11/24
- 投稿日:2021/11/24
地球温暖化による気候変動が世界的に問題視されている今、大企業だけでなく中小企業にも脱炭素への取り組みが求められています。そんななか、競争力や資金調達力の向上につながるとして注目されているのが「脱炭素経営」および「GX(グリーントランスフォーメーション)」です。事業拡大を考えている企業や持続的な成長を望む企業が今から取り組んでおきたい、脱炭素経営のメリットと取り組み方法についてご紹介します。
- この記事でわかること
大企業だけじゃない!すべての企業に脱炭素経営 とGXが求められる理由
環境問題が世界的に取りざたされている昨今、次のとおり、大手企業や金融機関、生活者それぞれの環境に対する意識が高まっています。
<大手企業が取引先に求める条件の変化 >
- 取引先に温室効果ガスの排出量-10% など具体的な目標を設定
- 温室効果ガス削減目標の一つ「SBT」の認定について、取引先にも取得を求める動き
SBT(Science Based Targets)とは…パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと
<金融機関の融資条件の変化>
- 温室効果ガス削減目標を策定し、達成した企業に優遇金利を適用する「サスティナビリティ・リンク・ローン」が大手金融機関だけでなく地銀でも提供開始
- 金融機関の企業評価基準でもGXへの取り組みが加味されるようになる可能性が高い
<生活者の意識の変化>
- CO2排出実質ゼロへの取り組みが必要と約80%が回答(※1)
- 日頃の買い物で環境に配慮された食品・商品を選ぶと59.3%が回答(※2)
製品やサービスのユーザーである多くの生活者、取引先である大手企業、金融機関までもが環境対策を行う企業を求めていることがわかります。GXへの取り組みで、自社の製品やサービス、技術などが生活者や取引先から選ばれるようになるだけでなく、資金調達も有利になるでしょう。
(※1)出典:カーボンニュートラルに関する生活者調査(2021年)|株式会社電通
(※2)出典:消費者意識基本調査|消費者庁
そもそも脱炭素経営 とGXってなんだろう?
脱炭素経営とは、企業が事業活動において排出する温室効果ガスの実質ゼロの実現を目指しながら事業を進めることを指します。そしてGX(グリーントランスフォーメーション)は、環境対策に取り組みながら産業構造や社会経済を変革させることを指す言葉です。
石油などの燃料依存から脱して、グリーンエネルギーを利用し会社や製品のブランド力を向上させる、新規顧客を獲得するなどもGXの一つです。GXへの取り組みで、事業活動における温室効果ガスの実質ゼロを実現する、脱炭素経営も目指せます。
2015年パリ協定以降、「環境問題の解決と経済成長を両立させる」動きが世界的に高まっています。国内では2020年10月に「2050年カーボンニュートラルの実現」が公表され、大企業だけでなく、中小企業にも脱炭素への取り組みが求められるようになりました。また、「2050年までのカーボンニュートラルの実現」には124の国と地域が賛同しています。
地球規模の課題を解決するために必要なGXに取り組むことで、企業は次のようなメリットを得られます。(※3)
(※3)参考:中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック|環境省
前述したとおり、取引先、金融機関、生活者のいずれも環境対策に取り組む企業を求めています。GXに取り組むことによって、大手企業や生活者から選ばれる企業となり、競争力の強化およびブランド力の向上が見込めます。
また、新規事業では環境対策を絡めることで、好条件のローンを利用できるなど融資の面でも有利に働きます。全社で社会課題の解決に取り組む企業と認知されれば、気候変動問題に関心の高い人材から選ばれる企業になるでしょう。
すぐに効果を感じられるメリットとしては、光熱費の低減が挙げられます。LED電球の導入やこまめなスイッチオフ、空調の温度設定などこまめな取り組みは、コスト削減にもつながります。
みんなはどう取り組んでいる?
GXへの取り組みで、すでに成果を上げている企業もでてきています。実際にどのような取り組みを行っているのか見ていきましょう。
A社(印刷業 ・従業員38名)の事例:環境への取り組みでブランド力・人材調達力も向上
横浜で印刷業を営むA社は、本業を通じた社会課題の解決に取り組む中小企業として注目を集めています。
印刷会社の肝ともいえる印刷機をLED UV印刷機に切り替え、従来のUV印刷機と比較して50%~70%消費電力量を削減するとともに、工場の屋根に太陽光発電設備を設置し、その後は、会社全体で使う電力の約20%をまかない、残りの約80%を青森県横浜町の風力発電を購入しています。
印刷から納品にいたる工程まで、環境に正しい方法を選択しているのも同社が評価されているポイントです。
用紙はFSC®森林認証紙を74%(2020年度)使用し、印刷工程ではノンVOCインキを活用しています。製本工程では針金を使用しない仕様を推奨しています。
これらの取り組みによって、A社は環境大臣賞を受賞し各種メディアに取り上げられ全国に知られる会社となりました。
その結果、新規受注が増え企業イメージが向上しただけでなく、人材調達力も向上したとのことです。
脱炭素経営を実現するGXカンタン3ステップ
経営に好影響を与えてくれるGX、取り組むために必要な3つのステップをご紹介します。
ステップ1.現状の把握・分析
事業活動全体でどのくらいの温室効果ガスを排出しているのかを確認します。そのうえで、今削減できる部分はどこか、どこから着手できるのかを考えましょう。
ステップ2.目標・方策の策定
いつまでにどのくらい温室効果ガスを削減するのか、具体的な削減目標を策定します。
ステップ3.会社への浸透、取り組みの実施
GXに取り組み始めることを社内に通知して全社で取り組みを始めましょう。
脱炭素経営とGXをもっと知りたい!Q&A集
最後に、脱炭素経営およびGXに取り組みたい企業によくある疑問についてお答えします。
Q.脱炭素経営は、なにから始めればいいの?
A. 脱炭素経営のはじめの第一歩は、温室効果ガスの排出量について、自社の現状を正確に把握することにあります。排出量が把握できたら、これから削減に取り組むとして現実的にどの程度削減できるのかを推計します。中小企業ではサプライチェーン排出量の中で、まずは自社内での排出を対象とすることが妥当です。
Q.具体的な計画・目標はどのように設定したらいいの?
A. 目標と計画の策定は、次の4つのステップで進めます。
- 長期的なエネルギー転換方針を検討する
- 短中期的な省エネ対策を洗い出す
- 再生可能エネルギー電気の調達方法を検討する
- 削減対策を精査して、計画をつくる
脱炭素経営への取り組みと同時に各種認定を取得したい企業や、経営の改善を目指す企業はプロのアドバイスのもと目標と計画を策定することをおすすめします。
Q.脱炭素経営の実行(設備投資等)において気を付けることはあるの?
A. 設備の刷新など、多大なコストをともなう施策を実行する際には、経営に負担をかけないよう国や自治体が用意する補助金や助成金の活用を検討しましょう。
Q.企業活動において避けることのできないCO2排出はどうしたらいいの?
A. 事業活動においてどうしても削減できないCO2については、CO2を吸収する活動への投資(カーボン・オフセット)によって排出量を実質ゼロにできます。具体的には、植林や森林保護、排出権の購入などの方法です。
参考:農林水産省「カーボン・オフセット」をもとに東京海上日動にて作成
(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/jcredit/offset/carbonoffset.html)
まとめ
GXに取り組むことで、地球環境にやさしい企業として認知されるようになるだけでなく、生活者や取引先からより選ばれる企業に変化していきます。新規事業の資金調達の面でも有利に働くでしょう。
会社を持続させ、今よりも発展させるためには、温暖化対策について考え、実行していくことが重要です。
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