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廃業を防ぐために! 事業承継・引継ぎ補助金の効果と申請手順
- 更新日:2025/03/27
- 投稿日:2025/03/27

経営者の高齢化が進む現在、後継者不足による廃業が後を絶ちません。現状が続くと、2025年には国内GDPの大幅減少、失業者数の増加という大きな問題に発展するといわれており、その影響は国全体に広がっています。 この状況を解決すべく、国は事業継承・引継ぎ補助金制度をはじめました。事業の継承や売却、新たな事業への挑戦を検討している方は、本記事を参考に補助金の申請を検討してください。
- この記事でわかること
補助金を活用した中小企業の声
まずは事業継承・引継ぎ補助金公式HPより、継承者・被継承者の声をご紹介します。実際の活用事例と結果を参考に、補助金の申請を検討しましょう。
このように、補助金のメリットは、事業継承時の金銭的負担軽減にとどまりません。売上アップや顧客層の拡大にも繋がっており、積極的に活用すべき制度といえます。
事業継承を実施したいと考えている方は、ぜひ次回の公募時期をチェックしてください。
2025年問題による後継者不足が及ぼす影響とその解決策
少子高齢化のいま、経営者の年齢層は60〜70代が最多というデータが出ています。70代の経営者のうち、「後継者が不在である」と回答した人の割合は約40%に及び、2025年の高齢者人口は3500万人に到達する見込みです。
現状が続いた場合、日本では2025年までに累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われており、一連の課題は2025年問題と称されています。
そこで、失業者数の増加と景気のさらなる悪化を防ぐため、中小企業庁では事業承継・引継ぎ補助金の支給を開始しました。自社での補助金活用は、金銭的負担を軽減するだけでなく、2025年問題を解決するためにも有効な手段です。
事業承継・引継ぎ補助金の概要
事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業及び個人事業主の事業継承・事業統合・事業再編をサポートする支援制度です。最大800万円を受給できるうえに公募回数が多く、活用しやすい補助金として注目されています。
公募枠は(1)経営革新枠(2)専門家活用枠(3)廃業・再チャレンジ枠の3つに分かれ、補助率・上限金額は分類ごとに異なります。
まずは自社に適した枠組みを選択し、具体的な補助内容を確認しましょう。
経営革新枠
経営革新枠は、事業を引き継いだ後継者を対象にした枠組みです。
店舗等借入費・設備費・広報費など、対象経費は多岐にわたるため、新たな後継者となる方にとっては見逃せない制度といえるでしょう。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
支給対象となる条件は、主に以下の3点です。
(1)規定期間内に事業継承・M&Aを実施していること (2)経営革新等に取り組むこと (例)新商品の開発・生産、技術に関する研究開発及びその成果の利用等 (3)デジタル化・クリーン化・事業再構築のいずれかに関わる事業であること |
また、経営革新枠では、事業継承の手段によって支援類型が異なります。ご自身に適した類型より申請を実施しましょう。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
専門家活用枠
専門家活用枠は、後継者の不在により事業売却を検討する方を対象にした枠組みです。
事業継承時に要するFA・仲介費用やシステム利用料を補助する制度で、M&Aにおける金銭負担を軽減できます。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
本枠の支給対象条件は、主に以下の2点です。
(1)規定期間内に事業継承・M&Aを実施していること (2)「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家へ委託すること |
専門家活用枠は買い手と売り手のどちらにもメリットのある制度で、双方の申請が認められています。ただし、立場によって支援類型が異なるため、申請方法には注意してください。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
廃業・再チャレンジ枠
廃業・再チャレンジ事業は、現在の事業を廃業し、全く新しい事業に挑戦する方を対象とした枠組みです。
廃業に伴う従業員の人件費や建物・設備の解体費、在庫廃棄費などが補助対象となります。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
本枠の支給対象条件は、主に以下の2点です。
(1)規定期間内に事業継承・M&Aを実施していること (2)補助事業期間内に既存法人(事業)の廃業を完了した上で、再チャレンジをすること |
経営革新枠、専門家活用枠との併願申請も可能となっているため、新たな事業を行う方は他の枠組みとあわせて検討してください。
※出典:「事業継承・引継ぎ補助金「経営革新枠パンフレット(第9次公募)」をもとに東京海上日動にて作成
事業継承に向けて、経営者がやるべきこと
事業継承を視野に入れているものの、具体的な対処方法が分からないという方もいるでしょう。
そこで以下では、事業承継を円滑に進め、企業の存続と発展を図る6つのステップをご紹介します。
STEP(1)事業承継計画の策定
まずは事業承継計画を策定しましょう。計画書には、承継の時期・後継者候補・承継方法などを明確に記載します。計画書は時間をかけて見直し、その都度修正する必要があるため、全体像は早期に固めることが重要です。
STEP(2)後継者の選定・育成
続いては後継者の選定及び育成を行います。後継者は社内外から選定できるため、慎重に人材を見極めてください。
選定後、後継者には経営スキルや業界知識を教育し、実際に経営に関与する訓練を行います。継承者・被継承者の双方が安心して事業継承を実施するためには、現場での経験を積む機会を設けましょう。
STEP(3)事業価値の最大化
不良資産の整理や経営改善策による企業価値の最大化は、必須事項のひとつです。株式や事業資産の評価も行い、適正な価格を算出しましょう。事業承継を行う前に、自社の財務状況を改めて確認することが大切です。
STEP(4)税務対策
事業承継に伴う税負担を抑えるため、事前に税務対策を講じましょう。贈与税・相続税の負担を軽減する手続きのほか、税理士や会計士に相談することも検討してください。
STEP(5)スムーズな引継ぎ
社内外のコミュニケーションも重要です。従業員や取引先、金融機関などに対し、後継者の紹介や事業承継の計画を説明しましょう。各所に理解と協力を得ることで、円滑な引継ぎが実現します。
STEP(6)事業承継・引継ぎ補助金の活用事業
以上の準備が整ったあとは、事業継承・引継ぎ補助金の申請を行いましょう。事業継承に必要なコンサルティング費用や教育・訓練費用を軽減できます。
補助金申請は専門家へ相談しよう
事業継承・引継ぎ補助金は非常に魅力の多い制度ですが、採択率は50〜60%にとどまります。申請書類の不備は不採択の原因となるため、まずは概要を詳しく理解しなければなりません。
しかし、概要の理解と申請書の作成には時間と人件費がかかります。そのため、短期間で効率よく採択率を高めるためには、補助金制度を熟知した専門家へ相談するとよいでしょう。
企業リスクをプロに相談したいという方は、ぜひこちらのリンクからお気軽にお問い合わせください。
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