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事業承継がうまくいかない3つの原因とは?解決するための手段を解説

  • 更新日:2021/11/24
  • 投稿日:2021/11/24

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経営者の高齢化が進むなか、中小企業の事業承継は大きな課題です。事業承継が円滑に進まない背景にはどのような要因があるのでしょうか。事業承継の問題を解決するためには、柔軟に手段を考える必要があります。ここでは、後継者が決まらない原因と、後継者不在の問題を解決するための手段についてご紹介します。

この記事でわかること
  1. 中小企業経営者の高齢化と引退が相次ぐ問題
  2. 事業承継がうまくいかない理由
  3. 柔軟化している事業承継の手段
  4. 選択肢は幅広く持って事業承継の準備はお早めに

中小企業経営者の高齢化と引退が相次ぐ問題

かつての中小企業では、親から子どもへ引き継ぐ親族内承継が当たり前のように行われてきました。しかし、近年では親族内承継がうまくいかず、経営が順調であるにもかかわらず廃業する企業も少なくありません。

従来のような事業承継がうまく進まない理由としては、「後継者探しの難しさ」「税負担の問題」「個人保証の引き継ぎ問題」が挙げられます。「事業承継に関する現状と課題について」(2016年、経済産業省) によると、70〜80代の経営者の過半数が「事業承継の準備が進んでいない」と回答しています。

そのまま後継者が見つからず廃業してしまうと、これまで維持してきた雇用や技術、ノウハウが失われ、経済活動の観点から見れば大きな損失となります。高齢化が進み、団塊世代の中小企業経営者の引退が相次ぐ昨今、いまや後継者の不在による廃業は社会的問題といえます。

事業承継がうまくいかない理由

事業承継が進まない理由について、それぞれの事例とともに確認していきましょう。

後継者探しの難しさについて

多くの経営者は、子どもや孫など親族に事業を継いでほしいと考えています。また、事業内容をよく理解している役員や従業員などの親族外承継を希望する経営者もいます。ところが、このような経営者の希望どおりの後継者が見つからないケースは少なくありません。その主な理由は次のとおりです。

  • 子どもや甥・姪などがいない
  • 子どもに継がせようと思っていたが、本人にその気がなく他社に就職してしまった
  • 会社内で後継者を探したが、能力や資質からみて適任者がいなかった
  • 後継者として適任な従業員がいたが、経営には興味がないと断られた
  • 後継者候補に株式取得のための資金力がないため断念した
  • 後継者を指名しようとしたが、社内での反発があった

会社を存続させたい意思はあるものの、さまざまな理由で後継者が見つからない場合は後述するM&Aを検討してみましょう。

税負担問題について

事業承継では、資産も引き継ぐため後継者の税負担も問題となります。株式を贈与や相続した場合、多額の税金を負担しなければなりません。

この問題の解決策として挙げられるのが、税負担軽減のため「事業承継税制」です。この制度では、非上場企業の株式などを引き継いだ際の贈与税・相続税の納税は猶予され、ゆくゆくは一定の要件下で免除されます。本制度は2018年の改正により適用要件が緩和され、対象者などが拡大されました。一方で、本制度は複雑かつ開始から年数が浅いこともあり、経験のある税理士が少ないという問題があります 。

税負担により事業継承が困難な事例として、次のようなものがあります。

  • 事業承継税制を活用しようとしたが、後継者に求められる要件を満たしておらず、利用できなかった
  • 事業承継税制を活用して親族外承継しようとしたが、あくまで納税猶予であり後に課税される可能性があるため、後継者候補の配偶者が反対した
  • 事業継承税制の実績のある税理士を見つけられず、相談できなかった

事業承継の際の税負担問題や事業承継税制については、事業承継に関する知見を持つ税理士に相談しましょう。

個人保証の引き継ぎについて

中小企業の多くは、会社の借入金について経営者が連帯保証しています。この個人保証の引き継ぎも事業承継をするうえでの大きな課題です。

日本商工会議所と全国銀行協会 は「経営者保証に関するガイドライン 」を策定し、個人保証を外すための要件などを示しました。2019年には事業承継に焦点を当てた「特則」 も公表しています。

しかし、本制度は新しい制度であるためガイドラインを知らない経営者も多いことから、依然として個人保証の問題は残っています。

個人保証の引き継ぎに関する問題には、次のようのものがあります。

  • 個人保証を解除しようとしたが、会社と経営者の家計が明確に分離されておらず、ガイドラインの要件を満たさなかった
  • 会社の財務状況から返済能力に不安があるとみなされ、金融機関に個人保証を外してもらえなかった

個人保証を解除するために、「経営者保証コーディネーター」による支援制度の活用を検討しましょう。経営者保証コーディネーターは、事業承継に関する知識を有する専門家です。「経営者保証に関するガイドライン」における「特則」の要件を満たすためのアドバイスも行ってもらえます。経営者保証コーディネーターは、全国48ヶ所に設置されている「事業承継・引き継ぎセンター」にて相談を受け付けています。

柔軟化している事業承継の手段

事業承継の方法は、親族内承継、従業員などへの親族外承継、M&A の3つの方法があります。従来型の事業承継が難しくなってきたなか、第三者への承継が増加しています。

昨今注目されるM&Aによる事業承継

M&Aとは 、「Mergers and Acquisitions」の略で合併や買収により会社の経営権を取得することです。一昔前まで、M&Aというと身売りを連想して悪印象を抱く人も少なくありませんでした。しかし、近年では「経営手段のひとつ」であると認識が変わりつつあります。

政府が事業承継を解決する手段のひとつとしてM&Aを推進していることも、M&Aの印象を変えているひとつの要因です。中小企業のM&A実施件数は近年増加しており、年間3,000~4,000件程度が実施されていると考えられています。

事業承継型M&Aは、後継者問題の課題解決に有効な手段です。廃業を避けて従業員の雇用を守るだけでなく、前経営者の利潤を確保して個人保証からも解放されます。"

親族外承継も一つの手段

かつては親族内承継が主だった中小企業の事業承継ですが、近年は親族外承継が増加しています。中小企業庁の「2020年版小規模企業白書」 によると、2017年には親族内承継より10%も少なかった「役員・従業員による事業承継」が2019年にはほぼ同数となっており、外部招へいも合わせると親族内承継より親族外承継の方が多くなっています。

社内外に経営を任せられる適任者がおり税負担や個人保証の問題が解決できれば、親族外承継も選択肢の一つになるでしょう。

選択肢は幅広く持って事業承継の準備はお早めに

中小企業、小規模事業者の事業承継は喫緊の課題です。事業承継の準備には一般的に5~10年かかる といわれています。後継者教育も含め早めの準備と計画が重要です。

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執筆プロフィール
BUDDY+編集部
  中小企業の経営者の皆さまに向けて、経営課題解決につながるお役立ち情報をお届けします。

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