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事業再構築補助金「グリーン成長枠」とは?事例から見る活用ポイント
- 更新日:2022/07/24
- 投稿日:2022/06/21
2022年3月28日、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、「事業再構築補助金」の第6回公募を開始しました。第6回公募では「回復・再生応援枠」と「グリーン成長枠」という2つの申請類型が新設され、第7回公募(2022年7月1日公募開始)でも継続されています。特に「グリーン成長枠」は補助上限額が同補助金上最大の1.5億円まで引き上がられ、かつ、売上高10%減少要件を課さないこともあり、大きな注目を集めています。
- この記事でわかること
「グリーン成長枠」が新設された背景とは?
「グリーン成長枠」は、世界的な懸念事項でもある「温室効果ガス」削減のため、2010年に日本政府が打ち出した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に関わる取り組みの1つです。グリーン成長戦略では、成長が期待される産業分野として重点14分野が挙げられ、分野ごとに実行計画、目標、具体的な見通しが示されています。
参考:中小企業庁「事業再構築補助金公募要領(第6回)」をもとに東京海上日動にて作成
成長が期待される重点14分野
(出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)
事業再構築補助金の「グリーン成長枠」では、二酸化炭素(CO2)の排出削減にとどまらず、国民生活にメリットを与えるような革新的な技術を支援する、という点も狙いに含まれています。
事業再構築補助金「グリーン成長枠」の5つの特徴
事業再構築補助金「グリーン成長枠」には、以下のとおり大きく5つの特徴があります。
1.売上高10%減少要件がない(売上高10%要件を満たしていなくても対象となる)
2.補助上限額が1億5,000万円(過去最大の補助枠)
3.一度採択された事業者も2度目の申請ができる
4.事業再構築の内容が限定される(グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する)
5.研究開発・技術開発又は人材育成をあわせて行うことで、付加価値額年率5.0%以上(通常枠は3.0%以上)の増加を目指すこと
1、2、3は「グリーン成長枠」の活用幅を広げてくれる特徴と言えるでしょう。補助金上限額が高く、売上高10%減少要件を課さないことに加え、第1回~5回までに一度採択された事業者がさらにチャレンジできることは大きなメリットです。
一方、4と5は「グリーン成長枠」特有のハードルです。付加価値額年率5.0%以上という条件はまだしも、事業内容がグリーン成長戦略で定められた重点14分野に限定される点について、「どのように対応できるのか?」と悩む人も多いかも知れません。
しかし逆に言えば、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する事業アイディアを考えることさえできれば、事業再構築の「グリーン成長枠」は非常に活用しやすいと言えます。
想定事例集に見る「グリーン成長枠」活用のコツとは?
2022年3月28日、中小企業庁は事業再構築補助金「グリーン成長枠」の対象となる重点14分野における想定事例集を公開しています。
想定事例集で紹介されている10事例の一覧
想定事例集を参考に、例えば以下のような視点で自社の事業を見直してみると、「グリーン成長枠」を活用できる可能性が高くなるでしょう。
視点1:既存の技術・ノウハウの活用(特に製造業)
想定事例集の中で最も多いパターンが、今すでに保有している技術やノウハウを重点14分野に活用する、というものです。特に、製造業を営んでいるのであればチャンスは多いかも知れません。
例えば、事例(4)は既存の「自動車向けの板金加工技術」を活用して、リチウムイオンバッテリー部材の製造にチャレンジするというものです。既存技術をベースにしながら、新技術の開発や新製品の製造に進出し、自社の技術力や製造能力を向上させることができます。
視点2:技術以外の資産の活用
製造技術やノウハウだけでなく、自社が保有するその他の資産にも目を向けると良いでしょう。
例えば、事例(7)では「酒類卸売販売業が、在庫データの共有化等を通して、配送業務を集約・効率化した配送受託業務を行う」というモデルが紹介されています。
配送車や配送ルートなどの資産を活用し、在庫データの共有化等を通して、CO2排出量の削減につながる集約・効率化した配送システムを構築することで、配送受託事業という新しい分野・市場へ展開する事例です。
また、事例(5)は「電気工事事業者が、既存顧客向けにデジタル化支援サービスを新たに提供する」というものです。
省エネにつながる工場エネルギー管理システムの包括的な導入支援などが考えられますが、デジタル化ニーズが高い既存顧客という資産を活用した事例と言えるでしょう。
複数の事業者が集まってチャレンジできる
中小企業庁は事業再構築補助金の実施当初から、複数の事業者が集まって大きなチャレンジをすることを推奨していますが、第6回公募からはその傾向がより強く打ち出されることになりました。
第5回公募までは複数事業者が協力する場合でも、各企業がそれぞれ補助金の申請を行う必要がありましたが、第6回公募からは最大20者まで連携して申請することができます。
自社だけでなく他社と連携を図ることで、「グリーン成長枠」の対象となる事業領域へのチャレンジしやすくなります。自社の事業領域は「グリーン成長枠」の対象にしづらい・・・とあらきめることなく、想定事例を参考にしながら、様々な事業アイディアを考えてみましょう。
他の補助金・助成金も活用して、さらにチャンスを広げる
他の企業と連携するだけでなく、事業再構築補助金以外の制度を活用すると、さらにビジネスチャンスを広げることができるでしょう。
2023年度も中小企業が活用できる補助金・助成金は、今後続々と発表されます。BUDDY+では、それらも随時ご案内させていただきますので、ぜひご確認ください。
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