
インタビュー
旧態依然の体質をぶっ壊せ。社内改革で従業員の半分が辞めるも業績はV字回復!!
ミナミホールディングス株式会社 代表取締役社長 江上喜朗
- 更新日:2022/12/28
- 投稿日:2022/12/28
1956年に創業したミナミホールディングス株式会社は、南福岡自動車学校の運営をはじめ、自動車教習所コンサルティング事業や海外事業、就職支援・人材教育事業など、多角経営を行うホールディングスカンパニーです。江上喜朗さんは、2011年の事業承継により代表取締役社長に就任した3代目。それまで自動車学校の運営のみを行ってきた会社に新しい風をもたらし、少子化と自動車離れで経営に苦戦する自動車教習所業界において、全国から注目を集める企業へと成長させた立役者です。 実家が会社のそばにあり、子どもの頃から教習所を見て育ったことから「心のどこかで自分が将来は事業を継ぐと考えていた」という江上さん。リクルートのグループ企業で事業企画を担当したのち、ベンチャー企業を経て、30歳の時に家業を継ぎました。会社の売上高は1990年代をピークに減少が続き、「このままではいけない!」と会社を改革する決意をしました。 江上さんがこだわったのは、自動車教習所を”楽しく学べる場”にすること。「楽しくなければ学びは深まらない、楽しければ人が集まる」と考え、まずは自らが交通安全のヒーローに扮して会社の広告塔になることに。この行動に、「教習所に楽しさはいらない」「ついていけない」と多くの従業員が会社を去っていったといいます。 社員が半減するも、翌年から新卒採用に成功。その若手社員が原動力となり、業績はV字回復を果たします。若者の車離れが進み、市場が縮小する中での快進撃に、自動車教習所業界のみならず、全国からその取組が注目を集めています。新規事業にも次々と挑戦を続けるミナミHDの改革の全容、今だから語れる江上社長の思いに迫りました。
- この記事でわかること
既存のものを破壊したかった。社長は全身タイツのかめライダーに変身!
――従業員の意識を変えようと決意した際、なぜ「かめライダー」に扮することを決意したのですか?
とにかく大胆に、「これから会社が変わる」ということを示したかったんだと思います。「感性あふれる“ひと”を創る」「愛あるおせっかいを提供する」とビジョンを定めましたが、社内で小さく改革を行っても何も変わらないと思ったんです。とにかく目立ち、本気であることを示す、ことからスタートしないと、誰も自分のすることには目も向けてもらえない状況でした。
――今でこそ、かめライダーが浸透していますが、一言で言うなら全身タイツのコスプレですよね…(笑)。
最初は「本当にこれを着るの?」と思いました(笑)。従業員が熱心だったのを今でもはっきり覚えています。「博多駅(博多口)のど真ん中でお披露目イベントをやりましょう」「博多駅から会社まで歩いていきましょう」「ホームページに載せましょう」って。それが一発目の企画でした。その時はまだ恥ずかしさと羞恥心にまみれた状態でしたから、挨拶をしてもみんな一歩引いてしまうんですよね(笑)。
――想像するだけでもすごい光景ですね。
恥ずかしがって中途半端にするのがいけなかったと思います。1回目でそれに気がついて、2回目以降は「自分はヒーローだ!」というマインドセットに変えました。「チャオ!」「幸あれ」と言いながら歩いたところ、ポジティブなリアクションをとってくれる人たちが増えてきました。子どもが手を振ってくれたり、学生が写真を撮ってくれたり。自分自身のマインドの在り方は伝わるんだなと思いました。
――突然全身コスプレを始めた社長に対して、従業員からの反発はなかったのでしょうか。
反発どころではないですね。「もうついていけない」「ふざけている」などさまざまなことを言われましたし、退職した従業員もたくさんいました。その一方で、「古い業界を変えていこう」「面白く楽しく教習しよう」「生徒さんが来て良かったなと思ってもらえるような教習所にしていこう」という方針に、若手従業員が賛同してくれたんです。嬉しかったですね。
――人が辞めていくことに、焦りはなかったのですか。
焦りはありませんでした。多分、好転していく未来が見えていたんです。それでも、面と向かって批判され続ける毎日は想像以上につらいものでした。従業員だけでなく、親や親戚からもさまざまなことを言われました。
――なぜそこで踏みとどまることができたのでしょう。
退職者の増加に比例して業績が下がっていく中で、社内も暗くなっていきました。当時入社した従業員からすれば、ありえない会社ですよね。そんな経験をさせている罪悪感から、慰労の意味合いも込めて「飲みに行こう」と従業員を誘ったんです。
その時、新入社員から「社長、大丈夫ですか?」と言われたんです。「これだけ人が辞めて、あれだけ色々言われて本当に辛いんじゃないですか?」と。もう、びっくりしました。「こんなブラック企業に入れられて、恨んでいる」「騙された」と言われてもしょうがないと思っていたのに、そんなこと言ってくれたんですよ。その言葉は今でも忘れられません。
すごくいい子たちが入ってくれたと感謝しましたし、裏切れないと思いましたね。当時新卒で入社したメンバーの多くは今でも活躍してくれています。
従業員にも生徒さんにも「愛あるおせっかい」を。ほめる、きく、きづく、みがく。
――社長自らが採用の現場に出て、ビジョンを語り、毎年10~15名の採用につながっていくようになったと伺いました。
会社説明会では、僕が前に出て話しています。気になる学生がいれば、飲みに連れていったり、お茶に誘ったり、とにかく行動していましたね。当時は社長が前面に出て、新卒の学生を口説くといったことをしている会社はありませんでした。
――就活生には、どのような話をされていたのですか?
まずは教習所にある先入観をなくそうと、「ミナミは明るく楽しい学校」であることを伝えていきました。そして、教習課程の31時間、生徒さんの横に乗って、心のドアを開きながら、安全な運転方法を教える仕事なのですよと。「もし、ブライダル業界や介護の業界でホスピタリティを発揮して働きたいと思っているのなら、教習指導員でこそ、ホスピタリティが活きるんだよ」と話していました。
――人材育成ではどのような点に注力されていますか?
「“育てる”って本当に必要なのかな?」と思っています。本人が持つ特性を解放させるような立場と役割を与え、活躍してもらうことが大切だと考えています。誰にでも一長一短があると思うんです。長所を生かせない部署で挫折や失敗を経験するよりも、長所を生かせる仕事をして、周囲から感謝され給与も上がる、そういうことが一番大事だと思います。
――社内の雰囲気づくりやコミュニケーションで意識していること、実践していることはありますか。
僕は「愛あるおせっかい」が大事だと考えています。生徒さんが心のドアを閉ざしていても優しくノックして開ける。そのための具体的なコミュニケーションとして心がけていることが4つあります。一つがほめる。あとは、きく、きづく、みがく。これを意識的に行っていますね。
「ほめる」はいいところ、頑張ってることに気づいて褒める。
「きく」は文字どおり、その人が何を言いたいのかを傾聴して認識する、聴くことに意識を向けるようにしています。
「きづく」では、身だしなみが整っているのかを見たり、言葉に出してないことでも何を考えてるのか、感じているのかを察して動いたりするようにしています。
「みがく」は、運転のスキルUPだけではなくお客様のモチベーションの向上や教習を通して“感性“を磨くよう伝えています。
この4つを大事にするよう、従業員に伝えています。最近では、朝礼などで自然と「先週こんなアンケートがありました!拍手!」と従業員同士が自発的に誉め合っています。
従業員の「やりたい!」が新規事業を生む。事業承継はとにかく早く引き継ぐ
――ミナミホールディングスは教習所にとどまらず、「DON!DON!ドライブ」をはじめとする教習コンテンツの提供やコンサルティング、AI教習、さらには海外事業と、さまざまな事業を展開しています。多くの新規事業を手がけてきた中で、挑戦する際のこだわりや、意識していたことはあるのでしょうか。
よほど高額な資金を必要としない限り、従業員のアイデアはほとんど採用しています。意思決定の際に意識していることの一つに「未来に対する確信」があります。世の中は一つの方向に向かっている不可逆なものだと思うんですよね。
「DON!DON!ドライブ」を始めたときも、当時はコーチングが流行っていて、コミュニケーションしながら、柔らかく教えていくっていうスタイルが教育にも取り入れられていました。知識を習得する教育はエンターテイメント化が進んでいくという大きな潮流があったんですよ。その流れは加速はするけれど、戻ることはないと考えました。
この業界でも、学科・技能ともにコーチングをとり入れ、エンターテイメントを交えながら楽しく教えていくという流れは避けて通れないと思ったんです。その未来に先回りしようという考えでした。
加えて、改革後も活躍している従業員の賛同や、目を輝かせて「そのビジョンいいですね」と言ってくれる若手社員がいたからこそ、一つひとつが形になったのだと思います。
――これから事業承継を控えている経営者の方々へアドバイスをお願いします。
とにかく早く引き継ぐことですね。考えるのはそれからでも大丈夫です。後継者を専務取締役などに据え社長の元育成する例も多くありますが、それでは成長スピードが遅くなりがちです。株を持ち、代表権を握って、後ろを振り返っても誰もいない状態になってからがスタートです。成長には実践が一番ですから。
事業承継は、”やりきる”の一択だと思います。経営者として成功するのと、家族仲良くやっていくっていうのは全く別のことだと思うので、本当に経営者としてやっていくのであれば高みを目指す、大きなことやりたいのであれば先代でも身内でも切る覚悟でやらなきゃいけないと思います。
――最後に、これからの夢や目標、今後の展開について教えてください。
短期的には技能教習にAIを導入して生産効率を高めたいと考えています。学科教習においては、エンターテイメント化とオンライン化を進め、より便利で楽しい学科教習に変えていきたいですね。バックヤードはDX化を進めて業務効率化と生産性の向上を実現したいです。
この3つを実施すれば、この業界も完全に変わっていくでしょう。これらが実現した後は、他の業界でも変革を起こせるよう取り組んでいきたいと考えています。
ミナミホールディングス株式会社
1956年自動車学校として創業。2011年の事業承継後は、自動車学校としてのニーズに応えながら、新たな価値の創造に取り組む。「安全運転を教えるだけなく、学ぶことの楽しさを知り、感謝の気持ちが生まれる人間教育を」というスローガンを掲げ、全国の教習所の経営改革を支援する子会社を設立。その取り組みは国内にとどまらず、カンボジアやウガンダでも自動車教習や交通問題解消に携わる事業を展開している。
江上 喜朗氏
1981年、福岡県生まれ。 大学卒業後、リクルートのグループ企業で新規事業企画や採用に携わる。インターネットベンチャーの取締役を経て、2010年に家業である南福岡自動車学校に入社。2011年、30歳の若さで同社社長に就任。自動車学校事業の大胆な改革により、3年で従業員100中50人が退職するも、80名採用し、売上げはV字回復。「変身活動家」として、全身タイツ姿のヒーロー「かめライダー」になり年間30回以上の講演を行っている。
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