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親族内承継はうまくいかない?成功に導く3つのポイントを解説
- 更新日:2022/05/26
- 投稿日:2022/05/26
全体に占める割合は減少傾向にあるものの、近年でも親族内承継を選択する中小企業は数多くあります。子どもや配偶者をはじめとする親族に事業を承継してもらいたい場合、経営者はどのような点を重視して準備を進めればよいのでしょうか。本記事では、親族内承継を成功に導く3つのポイントをご紹介します。
中小企業の経営者の多くは親族内承継を希望
株式会社バトンズとエキテン総研(株式会社デザインワン・ジャパン)が共同で実施した「全国の中小事業者へ事業承継に関する調査(2021年3月)」にて、後継者候補のいる551の事業者のうち、約6割にあたる324の事業者が子どもを後継者候補に置いていることがわかりました。
参考:株式会社バトンズ「全国の中小事業者へ事業承継に関する調査を実施(エキテン×Batonz共同調査)」をもとに東京海上日動にて作成
さらに配偶者、子ども・配偶者以外の親族を含めるとその割合は約7割にのぼります。一方で、親族内承継は成立しにくいといわれています。
親族内承継が成立しにくい理由
数十年前まで、親族内承継は事業承継の事例の大半を占めていました。ところが現在では、親族内承継は事業承継事例全体の3分の1程度に減少しています。
親族内承継が減少している理由の一つに、事業承継の準備不足があります。具体的には、後継者候補との対話が不十分で事業承継を進められない、経営者が十分な後継者教育を行わなかったために事業承継が円滑に進まないなどのケースです。
親族内承継を成功させるための3つのポイント
親族内承継を成功させるためには、前述した課題の解決に努める必要があります。親族内承継を望む経営者は、次の3つのポイントを踏まえて後継者教育を行いましょう。
1.親族の承継意思の確認する
親族内承継を望む経営者は、まず親族に承継の意思があるかを確認します。「子どもに会社を継いでもらいたい」と幼い頃から伝えていたとしても、子ども自身には承継の意思がないかもしれません。
承継の意思を確認する場には、事業承継の専門機関などが派遣する事業承継アドバイザーにも同席してもらいましょう。経営者にはどのような責任があるのか、現在の経営状況や市場の情勢などについても説明し、専門家の意見も踏まえた意思決定を促します。
これまで事業承継について踏み込んだ会話をしていないのであれば、日常的にコミュニケーションをとることからはじめてみましょう。
2.業種や事業内容の変更も視野に入れておく
後継者候補の希望を聞き、場合によっては業種や事業内容の変更を視野に入れる姿勢も大切です。新規事業の立案を後継者候補に任せれば、経営や市場に対する理解も深まります。
東京商工会議所が2018年に行った「事業承継の実態に関するアンケート調査」によると、30~40代で事業を引き継いだ経営者は、事業承継後に業績拡大に向けた前向きな取り組みを行っているといいます。
経営者は、意欲のある後継者が承継後の事業を軌道に乗せられるよう、事業承継の専門機関などのアドバイスを受けつつ後継者をサポートする体制を整えましょう。新たな経営者による新規事業開発は、会社を拡大するチャンスでもあります。
3.承継後の伴走期間を考慮する
事業承継の手続きが終わったからといって、これまで自身が行ってきた業務のすべてをすぐに任せるのは難しいものです。
経営上起こりうるトラブルへの対処法や優良顧客への対応など、長年の経験と培ってきた信頼が必要な場面では前経営者の力が必要になることもあります。
とくに経営者を交代してすぐの頃は、前経営者のやり方や考え方との違いで従業員から反発が起こったり、改革を急ぐあまりに従業員への負担が大きくなってしまったりすることも少なくありません。
従業員の安心感を高め負担を軽減するためにも、承継後数年間は新たな経営者をいつでもサポートできるよう準備期間を含め5~7年の伴走期間を設けましょう。
親族内承継にこだわりすぎない姿勢も大切
子や親族に事業を継いでもらいたいからと無理に事業承継を進めると、経営にマイナスの影響を与えてしまうかもしれません。経営者に事業に対する熱意ややる気がない状態では、従業員や顧客・取引先にもよい印象を与えません。
事業存続を望むのであれば、親族内承継にこだわらず別の手段を検討する柔軟さも必要です。
例えば、従業員などを後継者に置く親族外承継やM&Aといった手法もあります。これらの事業承継では、資質や能力、意欲の高い後継者・企業に事業を引き継いでもらえる可能性があります。
親族内承継は専門家と連携しながら進めよう
親族内承継を望む経営者は、円滑な事業承継を実現できるよう専門家も含めて早めに後継者候補との意思疎通を図りましょう。後継者候補の意欲を高めるために、承継後の経営について話し合い、実現に向けてサポートする姿勢も重要です。
後継者の育成には時間をかけ、承継手続きが完了した後も一定期間経営者の業務を一部負担できるようにする、取引先や金融機関とのやり取りに同行する時間を作るなど伴走できる体制を構築しておきます。
国が設置する「事業承継・引き継ぎ支援センター」をはじめとする事業承継の専門機関や、各地の商工会・商工会議所に相談しながら体制の構築や社内への周知を行えば、経営者交代にかかるさまざまな負担も軽減できるでしょう。
もし親族内承継が実現しなかった場合は、第三者承継やM&Aを検討してみましょう。
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