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企業にも1億円の損害賠償請求のリスク!自転車通勤の体制づくりと保険加入のポイント

  • 更新日:2023/07/27
  • 投稿日:2023/07/27

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従業員の安全管理のために、改めて社内の制度やリスクを見直してみませんか。その一例が、通勤のルールづくり。中でも今回注目したいのは、「自転車通勤」です。自転車事故は発生件数が多く、通勤中に相手方に被害を与えた場合、従業員だけでなく、従業員を雇っている企業にも損害賠償請求がされる可能性があります。この自転車通勤リスクを軽減・回避するための「ルールづくり」「安全教育」「保険加入」についてわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  1. 企業が「自転車通勤のリスク」に本気で取り組むべき理由とは?
  2. 自転車通勤のルールづくりのポイント
  3. 自転車利用の安全教育のポイント
  4. 企業の施設賠償責任保険の加入
  5. 備えを万全にするために、今始めるべきこととは?

企業が「自転車通勤のリスク」に本気で取り組むべき理由とは?

企業が「自転車通勤のリスク」に本気で取り組んだほうがよい理由は2つあります。

1つ目の理由は、「自転車の交通事故の発生件数が多い」ためです。気軽に乗ることができる自転車ですが、自転車通勤をしている従業員が、いつ事故を起こしてもおかしくありません。警視庁の調査(「自転車事故の推移(2021年中)」)によると、東京都内だけでも2021年の自転車の交通事故の発生件数は約1万3千件超にのぼります。全交通事故負傷者数に占める自転車負傷者の割合は約4割と、かなり高い割合を占めています。

2つ目の理由は、従業員が自転車通勤中に事故を起こした場合、「高額の損害賠償に発展する可能性がある」ためです。自転車事故により相手方が死亡または後遺障害を負った場合、5,000万円〜1億円の損害賠償額となるケースもあります(国土交通省「自転車事故の損害賠償に係わる現状について」による)。

そして、この損害賠償の責任を負う可能性があるのは、従業員だけではありません。従業員に賠償を負う能力がない場合、使用者責任に基づき、従業員を雇っている企業側にも損害賠償請求がされる可能性があります

ここまで申し上げてきた実情を踏まえ、企業が「自転車通勤のリスク」を軽減・回避するには、次の3つの施策を併行して進めていく必要があるでしょう。

●  自転車通勤のルールづくり

●  自転車利用の安全教育

●  企業の自転車保険の加入

自転車通勤のルールづくりのポイント

「自転車通勤のルールづくり」では、例えば以下の項目について明確にすることが重要です。

これらのルールづくりと共に、従業員による放置自転車を発生させないため、企業には事務所の敷地内あるいは近隣に駐輪場を確保することが求められます。また、自転車通勤というテーマでは「通勤手当をどうするか」についても制度化していかなければなりません。通勤手当については、マイカー通勤と同様、距離に応じて支給するのがよいでしょう

自転車利用の安全教育のポイント

「自転車通勤のリスク」を軽減・回避するために、企業が行うべき施策の2つ目は、従業員に対する「自転車利用の安全教育」です。安全教育を行うタイミングは、入社時または定期的が望ましいでしょう。

安全教育の教材としておすすめしたいのは、都民安全推進部が用意した専門家監修による動画、DVD、パワーポイント、習熟度テストなどです。これらを利用することで、専門家の講師がいなくても、従業員に対して必要な安全教育をしていくことができます。

この安全教材を介して、従業員に具体的に次の情報を伝えることができます。

●  交通ルールの啓蒙

●  基本的な自転車の通行方法

●  やってはいけない危険行為

●  自転車の点検・整備

●  交通事故の責任など

▶安全教育研修について詳しくはこちら(外部リンク:都民安全推進部)

企業の施設賠償責任保険の加入

「自転車通勤のリスク」を軽減・回避するために、企業が行うべき施策の3つ目は、「施設賠償責任保険の加入」です。条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きが広まっており、多くの地方自治体において、個人や事業者などに対し自転車損害賠償責任保険等への加入を義務・努力義務とする条例が制定されています。

「施設賠償責任保険の加入」を検討していくうえで整理したいのは、「自転車通勤中の事故は労災の対象になるか」ということです。

従業員が通勤中や業務中に自転車を使っていて事故を起こしたのであれば、本人のケガについては労災認定されます(寄り道は対象外)。しかし、相手方の被害については労災の対象外になり損害賠償に発展する可能性があります

この相手方への損害賠償に対しては、従業員側と企業側の両方で保険に加入して備えていく必要があります。理由は前述のとおり、従業員だけでなく企業にも損害賠償がされる可能性があるからです。

具体的に、従業員、企業それぞれの自転車事故に関する保険は次のようなものが挙げられます。

 

上記のうち、従業員個人の保険については、自転車通勤のルールづくりの部分でご説明したように、年に1回など定期的に、TSマークや保険更新の状況を確認していく必要があります。

一方、いくら従業員の保険の確認を制度化しても、「ルールの形骸化」「人員不足や引き継ぎ不足」などによって確認漏れが起こる可能性もあります。そのため、実は、企業側が「施設賠償責任保険」に加入するのが一般的になっています。なお、業務中に従業員が自転車を利用するのであれば、企業側の「施設賠償責任保険」は必須です。事務所等の建物を起点として業務利用する自転車を明細に明記することで業務中の自転車リスクについて引き受けることができます。

備えを万全にするために、今始めるべきこととは?

ここまで自転車通勤リスクを軽減・回避するために企業側が実践できる「ルールづくり」「安全教育」「保険加入」について説明してきました。事前の備えで、大きなリスクを防ぐことができます。見直しのきっかけに保険のプロに相談してみませんか

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