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働きやすい職場認証制度の取得メリットと、活用できる助成金をまとめてご紹介
- 更新日:2022/10/01
- 投稿日:2022/10/01
トラック、バス、タクシーといった自動車運送事業では、人手不足が深刻化しています。ネット通販の普及などにより、運送業界の仕事量は増えているにもかかわらず、それを担うドライバーが足りていません。 その要因のひとつとして考えられるのが、運送業界の仕事に対する世間のイメージです。「拘束時間が長そう」「体力的負担が大きそう」「給料が安そう」といったマイナスのイメージが定着しているために、求人募集をかけても人が集まりづらい状況となっています。 こうした現状を打破するための政策として、国土交通省が厚生労働省と連携して創設したのが「働きやすい職場認証制度」です。 今回は、2020年に創設された「働きやすい職場認証制度」について、その内容や取得するメリットを詳しく解説します。認証取得に活用できる助成金もご紹介しますので、これから申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事でわかること
1. 「働きやすい職場認証制度」とは?
まずは「働きやすい職場認証制度」の概要を見ていきましょう。
「働きやすい職場認証制度」というのは愛称で、正式名称は「運転者職場環境良好度認証制度」と言います。制度を紹介するパンフレットでは、制度導入の目的として以下の2点が挙げられています。
◆事業者の労働条件や労働環境を求職者が容易に確認できるよう「見える化」することで、 求職者のイメージ刷新を図り、トラック・バス・タクシー運転者への就職を促進します。 ◆自動車運送事業者が認証基準を満たすために様々な改善に取り組むことを通じて、より働きやすい労働条件、労働環境の実現を図ります。
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このように、トラック・バス・タクシー運転者の労働条件や労働環境に関して評価・認証し、主に求職者に対して情報提供を行うために作られたのが「働きやすい職場認証制度」です。制度の概要は、下表の通りとなっています。
※国土交通省プレスリリース『「働きやすい職場認証制度」二つ星を新たに導入します!』をもとに東京海上日動にて作成
審査を経て認証を取得すると、このオレンジ色の認証マークの表示が許可されます。笑顔で働くドライバーをイメージしたもので、働きやすい職場環境を提供している事業者を表現したデザインになっています。
※国土交通省プレスリリース『「働きやすい職場認証制度」二つ星を新たに導入します!』をもとに東京海上日動にて作成
「働きやすい職場認証制度」には、「一つ星」「二つ星」「三つ星」の 3 つの認証段階が設けられています。2020・2021年度は「一つ星」の認証のみでしたが、認証を取得した事業者のより高い水準への移行を促すため、2022年度には新たに「二つ星」が導入され、2023年度には「三つ星」が導入される予定です。
制度の開始から2年が経過し、「一つ星」の認証を取得した事業者は累計で3,278社、うちトラック事業者が2,320社、バス事業者(貸切・乗合)が218社、タクシー事業者が740社となっています(2022年8月2日現在)。親しみやすい愛称と認証マークで、これからさらに認知度を上げ、社会の注目と関心を集める制度になっていくことが期待されています。
2. 「働きやすい職場認証制度」のメリット
では、「働きやすい職場認証制度」の認証を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょう。
まず、認証事業者は、「働きやすい職場認証制度」のホームページで公表されます。また、前述の認証マークを車両や建物等に表示することで、優良な職場環境の企業であることを客観的にアピールすることができます。これにより、取引先や関連会社からの信頼感が向上し、仕事を受けやすくなるといった効果も期待できます。
さらに、厚生労働省との連携の下、ハローワークにおける求人票へのマーク表示や、認証事業者と求職者のマッチング支援といったインセンティブも受けられます。求人エージェントの協力を得て、求人サイトに認証事業者の特集ページが掲載されるなど、対外的な発信も行われます。求職者に対して、自社の労働条件や労働環境をアピールすることができれば、認証を取得していない事業者と比べて、より多くの求人応募数を獲得することができるでしょう。
「働きやすい職場認証制度」は、まだ始まったばかりの新しい制度ですが、これから認知度が高まるにつれて、発注者や求職者から選ばれるための重要な指標になることが予想されます。「仕事の受注を増やしたい」「良い人材を確保したい」とお考えの事業者の方は、早めに取得しておくことがよいでしょう。
3. 「働きやすい職場認証制度」の申請方法とスケジュール
では実際に、「働きやすい職場認証制度」に申請する手順を見てみましょう。
認証取得までの流れは、下図のようになっています。
出典:パンフレット(働きやすい職場認証制度)|一般財団法人日本海事協会
初めて申請する場合は、「一つ星」からの申請手続きとなります。「一つ星」を既に取得している事業者については、「二つ星」申請または「一つ星」継続申請が可能となります。郵送による申請も可能ですが、電子申請が推奨されています。電子申請を選択すると審査料の割引も受けられるのでおすすめです。
申請に必要な書類は以下の通りです。
1. 審査申込書
2. 営業所情報
3. 自認書
4. 以下の書類の写し
① 就業規則(10人未満の営業所は労働基準監督署の受付印不要)
② 36協定
③ 労働条件通知書
④ 安全衛生委員会等関連書類
⑤ 定期健康診断結果報告書(労働安全衛生規則 第52条関係 様式第6号)
※50人以上の営業所のみ対象
⑥ 事業改善報告書(行政処分の違反点数を受けている事業者のみ対象)
その他、申請要件などの詳細については「申請案内書」に掲載されています。2022年度版の「申請案内書 一つ星新規申請」は「働きやすい職場認証制度」のホームページで公開されており、「二つ星」申請および「一つ星」継続申請の「申請案内書」も追って公開予定となっているため、必ず確認しておきましょう。最後に、2022年度のスケジュールです。
※一般財団法人日本海事協会プレスリリース『働きやすい職場認証制度「二つ星」の申請受付を新たに開始』をもとに東京海上日動にて作成
登録証書には有効期間があり、原則として2年間と決められています。一度認証を取得したら終わりではなく、期限が来る前に再度申請をして有効期間を延ばしていく必要があります。継続的に認証を取得していくためには、働きやすい労働条件・労働環境を維持し続ける企業努力が求められているのです。
4. 「働きやすい職場認証制度」の申請に利用できる助成金も!
ここまで、「働きやすい職場認証制度」の概要や申請方法についてご紹介してきました。
前述の通り、申請にあたっては審査料と登録料が必要になりますが、都道府県のトラック協会が設ける助成制度を活用できる場合があります。
たとえば、一般社団法人埼玉県トラック協会では、「働きやすい職場認証制度」申請にかかる以下のような助成事業を行っています。
その他の都道府県のトラック協会でも、同様の助成制度を実施しているところが多くあります。申請にかかる費用を少しでも抑えたいという方は、助成金の申請も検討してみてはいかがでしょうか。
5. 「働きやすい職場認証制度」の取得支援サービス
東京海上日動は「働きやすい職場認証制度」の周知・広報に取り組む認定推進機関として、国内初の認定を受け、自動車運送事業者様向けの認証取得支援サービスを展開しております。
具体的には、制度概要の説明、認証の活用事例と効果の紹介、各認証項目の指差し確認と認証取得に向けたアドバイスや各種ソリューションの提供を実施しております。認証取得支援をご希望の方は、ぜひこちらからご確認ください。
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