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【2021年4月施行】改正高年齢者雇用安定法のポイントを解説!体制づくりの注意点は?

  • 更新日:2022/07/20
  • 投稿日:2022/07/20

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改正高年齢者雇用安定法が2021年4月に施行されました。これにより、企業には従来から義務であったシニア人材の65歳までの雇用確保に加えて、70歳までの就業機会確保について努力義務が課せられています。 改正法に対応し、シニア人材が活躍できる職場づくりを進めるために、企業はどのような点に注意して体制を構築すればよいのでしょうか。本記事では、改正高年齢者雇用安定法で押さえておきたいポイントと、体制構築の際の注意点などについて解説します。

この記事でわかること
  1. 就業確保措置の注意点
  2. 必要な措置を講じないとどうなる?
  3. シニア人材が活躍できる職場づくりを

改正高年齢者雇用安定法の2つのポイント

2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法について、企業が理解しておきたいのは次の2つです。

1. 70歳までの就業確保措置が努力義務に!

2021年の改正法では、シニア人材の就業確保措置(努力義務)が70歳までとされました。それに加え、引き続き65歳までの雇用確保を企業の義務としています。

参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」をもとに東京海上日動にて作成

改正前の高年齢者雇用安定法では、60歳未満の定年が禁止されており、また65歳までの雇用確保措置が義務とされていました。

改正法では、これらをそのままに、新たに65歳から70歳までの就業確保措置を努力義務として定めています。

2. 改正法への対応方法

就業確保措置が70歳まで引き上げられたことを受け、企業は65歳から70歳までのシニア人材を受け入れる新たな体制づくりに努めることが必要になりました。改正法により企業に求められる対応は、具体的には次のとおりです。

参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」をもとに東京海上日動にて作成

65歳~70歳のシニア人材について、定年引上げや定年制の廃止を実施する場合は、希望者全員を対象とする必要があります。そのほかの措置については、基準を設けて対象者を限定することも可能です。ただし、対象者基準を定める場合は、労使で十分に協議のうえ、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいとされています。

なお、定年や雇用確保措置、就業確保措置の変更や新設を行う場合、就業規則等を変更する必要があります。

就業確保措置の注意点

そのほか、65歳以降の就業確保措置で企業が注意したい点がいくつかあります。改正法に対応した職場づくりのために、企業が知っておくべきポイントを見ていきましょう。

1. 再雇用制度と勤務延長制度の違い

70歳までの継続雇用制度で改正法に対応する企業は、再雇用制度と勤務延長制度の違いを理解したうえでどちらかを選択する必要があります。

再雇用制度は、一度定年退職した従業員を新たな賃金体系・労働条件で雇用契約を結び直すものです。この場合、1年契約の有期雇用を更新していくのが一般的です。

勤務延長制度では、定年退職手続きを行いません。また、基本的に賃金体系や労働条件も変えずに雇用を続けます。

再雇用制度・勤務延長制度どちらも、65歳以上の社員を対象とする場合は、子会社や関連会社だけでなく、ほかの事業主による雇用で実施する方法も認められています。なお、その場合は、元の事業主とほかの事業主との間で「65歳以上継続雇用制度の対象となる高年齢者を定年後に他の事業主が引き続いて雇用することを約する契約」を締結することが要件とされています。

2. 再雇用制度で検討すべきこと

再雇用制度を選択する企業は、再雇用する従業員に対する処遇や勤務形態の見直しを検討しましょう。

処遇面については、正社員から契約社員や嘱託社員に切り替え、それぞれの役割などに応じた賃金に変更するのが一般的です。ただし、同一労働同一賃金の観点から、著しい賃金格差には注意しましょう。

勤務形態においては、本人の体力や健康状態、希望にあわせて勤務時間、勤務日数などを見直す必要があります。1日あたりの労働時間を減らすなど、シニア人材の働きやすさを考慮することが大切です。

3. 65歳までなら継続雇用は希望者全員が対象

65歳までの継続雇用は義務であるため、希望者全員が定年後も雇用される体制でなければなりません。一方、70歳までは努力義務のため、前述のとおり対象者の基準や継続雇用しない事由を定められます。

ただし、基準は公序良俗に反しないように注意しましょう。「会社が必要と認めた者に限る」「上司の推薦がある者に限る」などの基準も、基準がないことに等しいため適切ではありません。基準は従業員から見て納得できる、客観的かつ具体的なものにしましょう。

4. シニア人材における無期転換ルールとその例外

企業と従業員の間で、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合は、従業員本人の申し込みにより無期労働契約に切り替わるルールがあります。これを無期転換ルールといいます。

定年後の継続雇用では、1年契約で更新していく方法が一般的です。ただし、継続雇用のシニアでは通算5年を超えても無期転換申込権が発生しないという例外があります。

この例外措置が適用されるのは、事前に計画を作成して、都道府県労働局長の認定を受けた企業に限ります。また、認定されるのは「高年齢者雇用推進者の選任」「勤務時間制度の弾力化」など、シニアが働きやすい環境を構築するための8つの措置のうちのいずれかを実施している企業です。

なお、他社で働いていた高年齢者を定年後に新たに雇用した場合はこの例外措置に当てはまりません。

5. 業務委託契約締結前に知っておくべきこと

創業支援等措置を講じる場合には、創業支援等措置の実施に関する計画を作成し、過半数労働組合等(過半数労働組合がない場合には、労働者の過半数代表者)の同意を得る必要があります。作成した計画はハローワークに届け出る必要はありませんが、従業員に周知しなければなりません。

また、70歳までの継続的な業務委託契約については、努力義務であるため契約を更新しないことも可能です。その場合は、業務委託契約を更新しない事由を計画の中にあらかじめ定めておきましょう。

必要な措置を講じないとどうなる?

企業の義務である65歳までの雇用確保措置を講じない場合、企業に対して指導が行われる可能性があります。

さらに、指導が繰り返し行われたにもかかわらず具体的な取り組みを実施しなかった場合、勧告書が出され、企業名の公表やハローワークでの求人の不受理・紹介保留、助成金の不支給などの措置が講じられます。

企業は高年齢者雇用安定法の改正内容をよく理解し、義務とされる65歳までの雇用確保措置を講じられるよう体制をつくりましょう。

シニア人材が活躍できる職場づくりを

人生100年時代、シニア人材は今後ますます企業において重要な資産になっていくはずです。シニア人材が活躍できる職場をつくり、持続的に成長できる企業を実現しましょう。

新たに65歳から70歳までの就業確保措置が努力義務となったことを受け、補助金や助成金を利用して採用に踏み切りたい経営者のみなさまは、東京海上日動の「補助金・助成金診断システム」や個別相談(無料)、申請支援(有料)をご活用ください。

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執筆プロフィール
社会保険労務士法人 伊藤人事労務研究所
「強い人事が組織を強くする」を信念に働き方改革と業務効率化をサポートする業界屈指の社会保険労務士法人。

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