企業リスク対策
ハラスメント問題の最新状況と対策ポイント
- 更新日:2021/11/24
- 投稿日:2021/11/24
パワハラやセクハラなどの職場のハラスメント問題は、企業が取り組むべき課題の一つです。社内の意識変化を促すには、どのようなポイントを重視すべきなのでしょうか。最新のハラスメント問題の傾向や事例をもとに、対策のポイントをご紹介します。
- この記事でわかること
職場のハラスメントの深刻化
職場におけるハラスメントへの意識が、社会全体で高まりつつあります。全国の労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は増加の一途をたどっており、それを起因として発病した精神障害に対する労災補償の件数は過去5年で横ばいとなっていますが、うち上下の対人関係によるものは増加しています。
パワハラにおいては、具体的な対策に取り組む企業は52.2%と約半数にとどまっているのが現状です。さらに、従業員99人以下の企業では26.0%となっています(※厚生労働省「データで見るハラスメント」より)。
実際にパワハラへの対策を講じている企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか。対策を立てた企業が「もっとも効果があった」と実感しているのは、管理職を対象とした講演や研修会の実施です。次いで、一般社員を対象とした同様の取り組みが挙げられています。
この結果から、社員がそれぞれの立場でハラスメントとはどのようなものを指すのかを理解して、自分の行動を省みることがハラスメント問題の解決への一歩と考えられます。
時代とともに変化・細分化する職場のハラスメント
「いじめ・嫌がらせ」を意味するハラスメントのなかにも、何を軸としているかによって種類があります。とくに職場で多く見受けられるハラスメントの種類について解説します。
パワハラ――事業主の措置が義務化
パワーハラスメント(以下、パワハラ)とは、上司が部下のミスに対して必要以上に指摘し続けるような、役職などの優位性を利用して相手の心身に苦痛を与える行為を指します。
例えば、攻撃的な言動で強いストレスを与える、必要のない残業をさせる、人間関係から特定の従業員を孤立させるようにするといった行動もパワハラにあたります。被害者が弱い立場になりやすいため声をあげづらく、問題が深刻化するまで企業側が対処できないケースも少なくありません。
2019年に改正された「労働施策総合推進法」「男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法」では、職場におけるパワハラ防止のために、「雇用管理上必要な措置を講じること」が事業主の義務と定められました。
企業規模に関わらず、パワハラについての社員のリテラシー向上は喫緊の課題といえるでしょう。
解決するためには、まず会社としてパワハラの是正に取り組むという意志を示しましょう。具体的には、経営者のメッセージを伝える方法が効果的です。また、どのような態度がパワハラとされるのかを記したルールブックを作成して、社内にルールを浸透させましょう。
セクハラ――理解を深めるための積極的な努力が必要
セクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)とは、職場内で性的な言動が行われること、また性的な言動を拒否したり抵抗したりすることで減給や降格、解雇など不当な動機から処分されることなどを意味する言葉です。
セクハラは、1997年の男女雇用機会均等法改正時にはすでに事業主による防止措置が義務付けられています。しかし、都道府県労働局雇用均等室に寄せられるセクハラの相談件数の推移を見ると、直近3年間は横ばいで、問題の根絶にはいたっていません。
また、女性だけでなく男性のセクハラ被害や、性的マイノリティ(LGBTQ+)に対する性的な言動もセクハラに該当します。多様化する性自認と更新されていくモラルを踏まえ、企業は性別を問わず従業員が安心して働ける環境を構築する必要があります。
具体的な社内の取り組みとしては、性別や年齢、性自認が多様なメンバーでセクハラ対策を推進するチームを作り、互いの認識をすり合わせたうえで自社におけるモラルをガイド化し、全体に周知する方法が効果的です。性的マイノリティ(LGBTQ+)関連のイベントに企業名義で参加する、採用時にエントリーシートの性別欄の記入を任意とするなど、積極的な手段を取る会社は、その姿勢が企業ブランドにも好影響を与えています。
マタハラ、イクハラ、セカハラ――ハラスメントの細分化
昨今とくに問題になりやすいのは、妊婦や育児中の男女を対象としたマタニティ・ハラスメント(以下、マタハラ)や、育児ハラスメント(以下、イクハラ)です。マタハラやイクハラはハラスメントとしての認知が進んで以降、相談件数が増加しています。
また、セクハラやパワハラを訴えた従業員に対する二次被害、セカンドハラスメント(以下、セカハラ)への対策も必要です。ハラスメントを訴えられた企業側が、従業員に我慢を強いる、事実を確認せずに否定するなどの行動も、ハラスメントとして定義されています。
各種ハラスメントは、個々人への理解や配慮が不足していることが発生原因の一つと考えられます。e-Learningをはじめとする外部教材 を利用した研修を実施するなど、地道な意識・社風の改革に取り組みましょう。
自社の状況の理解と意識の浸透を
社内環境は経営状況と異なり数値化しづらいものです。まずは自社の現状を把握するために、客観的な指標をもとに状況を可視化しましょう。
商工会議所の会員企業は、日本商工会議所が用意する健康経営専門家派遣制度を活用するのも一つの方法です。健康経営アドバイザーに分析してもらい、「健康経営診断報告書」をもとに課題の解決を目指しましょう。
ハラスメントへの対策を通じて、経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」の認定取得を目指すのもよいでしょう。さらに、万が一への備えとしてハラスメント関連の損害賠償請求に備えられる保険に加入する方法もあります。
2021年11月 1404-AH09-B21036-202110
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