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今からでも遅くない!インバウンドビジネスの進め方
- 更新日:2022/10/01
- 投稿日:2022/10/01
政府は2007年より観光立国推進基本法の施行を通して、インバウンド政策を進めてきました。ところが新型コロナウイルス感染症により、コロナ禍直前まで大幅な増加を続けていた外国人旅行者数が水際対策によってほぼゼロになるなど、厳しい状況が続いています。 そのようななかで、ようやく入国規制緩和が現実的に進展の兆しを見せ始め、観光業の復活も遠くないと感じられるようになりました。 コロナ禍以前より、訪日外国人観光客の存在は国内のビジネスにおいて重要視されてきました。その傾向は今後より強くなっていくでしょう。なぜ訪日外国人観光客が重要なのか、あらためて解説します。
- この記事でわかること
日本の人口減少と国内市場の限界
日本の人口は2008年をピークに減少期に入りました。今後も人口は減少し続け、2048年には1億人を切り、2060年には8,674万人になると予想されています。
参考:総務省「国税調査」「人口推計」および国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」の中位推計をもとに東京海上日動にて作成
グラフのとおり、生産年齢人口(15〜64歳)も総人口に比例して減少していくと見られています。高齢化と人口減少により消費活動が縮小していくなかで、同じ事業・戦略を将来にわたって国内向けに行っているのでは、売上の減少は避けられません。
急成長する世界の旅行市場
一方で、世界の旅行市場は拡大を続けています。2010年の世界の観光客数は9億5,200万人を記録し、国連世界観光機関(UNWTO)の予測値によると、世界の観光客数は2020年には14億人にのぼる見込みでした。ところが、その予測値を2年早い2018年に達成しています。その陰には、2010年〜2019年の平均伸び率がもっとも高かったアジア・太平洋地域の成長があります。アジア・太平洋では最初の海外旅行で近隣の国々へ向かう傾向があり、そのなかには当然日本も含まれていました。
参考:世界観光機関(UNWTO)「Tourism Towards 2030」、「International Tourism Highlights 2019」をもとに東京海上日動にて作成
また、2019年の世界の旅行者14億6,000万人のシェアを見ると、2人に1人はヨーロッパ、4人に1人はアジア・太平洋の居住者であることがわかります。伸び率では中東の8.3%が群を抜いており、今後はアフリカからの旅行者が増加すると予想されています。将来的には成長する市場にも目を向け、ビジネスに取り組んでいくといいでしょう。
UNWTOによれば、2019年の国際観光輸出額(国際観光収入+旅客輸送)は1兆7,420億米ドル(約188兆8,800億円)に増加し、世界の輸出区分で見ると燃料、化学に次ぐ第3位に入り、自動車関連を上回っているとのことです。
インバウンドは地方創生への親和性も高い
前述したとおり、日本では人口減少による市場の縮小が懸念されています。高齢化・過疎化が進む地方ではより深刻な問題です。
インバウンド関連事業が地方創生にもつながる理由としては、新規市場であるため顧客を獲得しやすいこと、地域全体で連携して取り組む旗印となりやすいこと、地方に訪れやすい個人旅行者が増加していることが挙げられます。
地方創生の文脈でインバウンド関連事業に取り組む際には、海外旅行者から見た「ここにしかない」地域の魅力を発掘することが重要です。「ここにしかないもの」が見えれば、ビジネスのターゲットを絞りやすくなります。あらためて魅力を見つめ直すなかで地域の連携が進み、地域に対する住民の愛着も醸成されていくでしょう。
人気の観光地では、キャパシティを超える観光客数により旅行者・地域住民の双方の満足度が低下するなどの問題(オーバーツーリズム)が発生することもありました。海外の旅行会社にとっても飽和状態にあるエリアの商品は売りにくいため、地方の観光資源を求める傾向にあります。
近年では、日本製の商品を大量に購入する「モノ消費」から、体験・アクティビティなどの「コト消費」が重視されるようになったことも地方創生を後押ししています。各種スポーツツーリズムやロケ地巡り、農泊など、テーマ観光を通じた地域の活性化も期待できます。
長期滞在が多い訪日外国人旅行者は、地方へ足を伸ばすことをいとわない傾向にあります。週末は国内旅行者で賑わうけれど、平日は閑散としているという地域でも、長期滞在の訪日外国人旅行者が増えれば売上も安定するでしょう。
インバウンドの消費力は日本経済に大きなインパクトを与えてくれる
国内旅行者と訪日外国人観光客では旅行中の消費額にも大きな差があります。
2018年の日本の定住人口は1億2,644万人で、1人あたりの年間消費額は127万円、国内旅行のうち宿泊をともなう旅行における1人あたりの消費額は5万4,300円、日帰り旅行では1万7,285円でした。一方で、訪日外国人観光客の1人1回あたりの消費額は、2018年時点で15万3,029円にのぼります。
前述したとおり、日本の人口は年々減り続けています。定住人口1名の年間消費額減少分をカバーするために、宿泊を伴う国内旅行は23人分、日帰りなら73人分が必要です。しかし訪日外国人なら8人分で、定住人口1人の減少分が賄えるのです。
これらの数字から、消費活動における訪日外国人観光客のインパクトの強さがご理解いただけるのではないでしょうか。
数少ない成長市場、インバウンドは可能性がある
観光産業は、日本で数少ない成長市場です。なかでも訪日外国人観光客は、いち企業のみならず、地域全体を、ひいては日本の産業構造を変えてしまう可能性もあるほど、大きなポテンシャルを秘めています。インバウンドは今後も変わらず伸び代のある市場であるということを念頭に、今こそ一歩を踏み出しましょう。
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